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痛みのスタディルーム!

【痛みの各論 vol.2】成長期の子供と痛み

成長期の子供に特有の痛みとは!?

みなさん,こんにちは。

「マニュアルフィジオサロンあきは」のブログへようこそ!

身体の痛み治療のスペシャリスト
“認定徒手理学療法士”の齋藤賢一です。

みなさんのお子さんでも「成長痛」をお持ちの方は多いのではないでしょうか!?

「成長痛だから仕方ない!?」

「時期が来れば治る!」

と思っていませんか??

そこで,今回のテーマは,『成長期の子供と痛み』ということで,成長期に特有な怪我や疾患についてのご紹介とその対処法や予防法までお伝えできればと考えております。

【成長期に特有の疾患】
◇オスグッド・シュラッター病
◇腰椎分離症
◇セーバー(シーバー)病
◇リトルリーガーズショルダー
◇野球肘

というところが代表的な疾患です。

部位は違えど,共通するのは,成人のように骨が一つの骨に成長しきれておらず,成長期の場合,骨の一部(主に端っこ)に成長軟骨が介在し,骨端に過度なストレスとなって発症するという特徴があります。

上記の疾患はいずれも,小学校の高学年くらいから中学生にかけてのケガと思っていただいて差し支えないと思います。

では,一つずつ見ていきましょう!

◇オスグッド・シュラッター病

(いわゆる成長痛として認識されているもの)

これは,ひざのお皿の下にある骨の隆起した部分(脛骨結節)の痛みです。
この部分を押したり,何かに当たったりするとかなり痛いです。

メカニズムは,太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)→お皿に付着→腱が脛骨結節に停止し,筋・腱の収縮や伸張刺激が,脛骨結節部への牽引ストレスとなり発症するものです。

身長が年間で10cmも伸びるような「成長スパート」の時期に,ジャンプ系のスポーツ(ミニバスなど)で発症しやすい疾患です。

【対処法】
「成長が止まるまでは仕方ない」ということはまったくありません!!

筋肉の硬さや動作不良の結果,お皿(膝蓋骨)の動きが硬くなったり,お皿の位置が外側に偏位したり高くなったりする機能障害を認めることがほとんどです。

最善で最速の対処法は,そのお皿の機能障害を取り除くことです!!
→そのためには,高度な徒手療法テクニックや特殊なテーピングなどを用います。

次いで,筋肉の柔軟性を高めるためのストレッチングや正しい動作パターンを身に付けるためのエクササイズを行います。

「痛くて走れない,飛べない,,,」という症状も,しっかりとしたケアをすれば,簡単に症状を取り除くことが可能な疾患なのです!!

上述の結果を考慮すれば,おのずと予防法もお分かり頂けると思います。

【予防法】
〇筋肉の柔軟性を維持・向上させる。
〇正しい動作を身に付ける。

ことで,骨端への過度なストレスを避けることができるのではないかと考えられます。

◇腰椎分離症

これも成長期に特有の疾患ですが,近年では,腰椎(腰の骨)の「疲労骨折」という認識が一般的になっています。

「腰が痛い」というシンプルな症状です。

が,しかし,小学生で「腰が痛い」って普通ではないですよね!!?

成人の腰痛の80%以上は,原因がはっきりしない非特異的腰痛と言われますが,腰椎分離症は原因が明確な特異的腰痛に分類されます。それはそうですよね。だって「骨折」ですから!!

整形外科的な診断では,レントゲンやCTにて,「骨の分離/骨折像」が確認できれば確定となります。

メカニズムは,腰を反った状態で「同一方向」に身体を捻る動きを反復することによって,腰椎の片側に「疲労骨折」を生じます。

スポーツでは,バレーボールのスパイク動作やバドミントンのスマッシュ動作のようなオーバーヘッドスポーツで,「腰を反った状態での回旋動作の反復」によって生じやすい疾患です。

【対処法】
発症後,早期の段階では,骨折治療に準じた体幹コルセットでの固定が選択されます。当然ですが,骨折の治癒を図ることが目的であるため,固定期間中は原則,運動は禁止となります。

発症からかなり時間が経過しており,骨癒合が期待できない時期になってしまった場合は,固定はせずに,痛みをコントロールしながら,運動を継続していくことになります。

「えっ???」

骨折が治っていないのに大丈夫なの?

とお思いになるかもしれませんが,大丈夫(というか仕方ないというか)なのです。

成人になってレントゲンを撮ったら,実は分離していたということはよくあります。
分離していても,痛みがなければ,特に支障はありません。

ただ,分離症にプラスして,すべり症も併発している場合は,固定が選択されることもあります。

いずれにしても,分離症が確定したら,時期に応じた治療プランにのっとって,スポーツ復帰に向けたアプローチをしていくことになります。

リハビリにおける重要なポイントは,「腰を反った状態での回旋」ストレスをいかに減らせるかという視点です!!

腰は本来,捻る(回旋する)ことがほとんどできない構造になっています。
そこに捻る動きが反復して加わることが,この疾患の根本的な原因でしたよね!

スパイク動作であれば,胸椎(背中)の伸展/回旋動作が十分に使えているか?
スマッシュ動作も同様に,胸椎の伸展/回旋プラス股関節の回旋動作が十分に使えているか?

など,

個別の問題点を洗い出して,最適なアプローチをしていくことが重要ということになります。

ということで,

【予防法】は,
「腰を反った状態での回旋」ストレスを加えないということですよね!!
〇胸椎の伸展/回旋動作や股関節の回旋動作を身に付ける。
〇腰椎の過伸展/過回旋をコントロールする腹筋群の機能向上。

成長期の子供が「腰が痛い!」と言ったら,まずは「腰椎分離症」を念頭に置くことが大切です。

◇セーバー(シーバー)病

これは,成長期に生じるかかと(踵)の痛みです。
(踵骨骨端症:しょうこつこったんしょう)

メカニズムはオスグッド病と類似していて,ふくらはぎの下腿三頭筋の収縮/伸張刺激が,アキレス腱を介して,かかとの踵骨骨端に過剰な牽引ストレスとして,加わり続けることによって生じる疾患です。

「走ったりして,かかとを着くと痛い」という症状です。

早いと小学3年生くらいからでも生じる可能性があります。

【対処法】
「かかとを着くと痛い!」→だったら着かなければいい!?
「かかとを着かない」生活なんて不可能ですよね!?

この疾患にかかる2つの特徴があります。
1.足首が硬くてちゃんとしゃがめない子供
2.扁平足でかかとが回内している子供

1.は学校での運動器検診の項目にも入っていますよね。最近の子供はしゃがめない子が多くなってきているので要注意です。

この2つの特徴を見極めて,その機能障害の改善を図れば,かかとの痛みはなくなります。

1.の硬さがあれば,それを徒手療法で取り除いて,筋の柔軟性を高めて,しゃがめる足首を作ってあげれば治ります!!

2.の場合は,かかとが回内しないようにするテーピングや足の着き方のエクササイズ,動作パターンの修正などで改善することができます!!

【予防法】
メカニズムと特徴が理解できれば,
その答えは,
〇しっかりとしゃがめる柔軟な足首を保つこと。
〇正しい足の着き方,動き方を身に付けること。

誰にでも骨端は存在するので,痛くなるには,それなりの理由が当然あるんですよね!!

以上,

成長期の痛みの代表格を3つご紹介しました。

リトルリーガーズショルダーと野球肘については,投球障害のブログでご紹介したいと思いますので,今しばらくお待ちください。

「成長期だから!」と決めつけることなく,その原因をしっかりと見極めれば,ちゃんと治して,楽しい学校生活を送ることやスポーツを楽しむことは可能なのです!!

『成長期の子供の痛み』で,お悩みの方は,是非ご相談ください!!

最後まで,お読みいただき誠にありがとうございました。

「いたみのないシアワセ!」
「できることのヨロコビ!」をあなたへ。

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